松岡みゆきのブログ

町田市議会議員 松岡みゆきのブログです

町田市書道連盟研修旅行

秋分の日の今日、私が所属している町田市書道連盟の研修旅行に行ってきました。
朝8時に町田駅に集合して、皆がそろったところで観光バスで出発です。


まずは台東区にある樋口一葉記念館に行ってきました。
五千円札の肖像でも有名な樋口一葉は、1872年(明治5年)に現在の東京都千代田区で生まれました。
幼い頃から非凡な才能を示した一葉は、小学高等科第四級を主席で修了するも、母である多喜の「女子に学問は不要」という考えから進学を断念しました。
しかし、父の則義は娘の文才を見抜き、知人を通して中島歌子の歌塾「萩の舎(はぎのや)」に入門させて和歌を学ばせます。ここでも一葉はその才能を如何なく発揮し、四千首を超える和歌を残しました。

こうして和歌に打ち込む一葉でしたが、明治21年に兄の泉太郎が、翌明治22年には父の則義が亡くなり、一葉はわずか17歳で戸主として一家を養わなければならなくなりました。
一時は小説で身を立てる決心をした一葉でしたが、当時の男尊女卑の社会にあっては女性が小説で原稿料を得るというのは極めて困難な時代でした。

小説で生計を立てる事の厳しさを悟った一葉は、現在の台東区龍泉で荒物駄菓子屋を開きます。しかし、ここでの困窮を極めた生活体験こそが、彼女の代表作「たけくらべ」を生む土壌となったのです(その為、地元住民の働きかけもあり、ここ台東区一葉記念館が建てられました)。

その後、紆余曲折を経て明治27年12月、雑誌『文学界』に小説「大つごもり」を発表、翌年1月からは「たけくらべ」を連載、さらにその合間に「うつせみ」「にごりえ」「十三夜」など数々の名作を世に送り出し、後にこの期間は「奇跡の14ヶ月」と呼ばれるようになりました。
中でも「たけくらべ」は森鴎外幸田露伴から絶賛されましたが、明治29年11月、肺結核の為、一葉は24歳という若さでその短い生涯を閉じました。

記念館には樋口一葉自筆の草稿や書簡等が展示されていました。
凛として美しいその文字は、短くも力強く生きた一葉を体現しているようで、まるで彼女と対面しているような気持ちになりました。






一葉記念館を後にして、同じく明治の俳人である正岡子規の子規庵の前を通り、それから台東区書道博物館に行ってきました。
現在、同博物館では「趙之謙の書画と北魏の書」と題して、趙之謙の書画展が開催されています。
趙之謙(1829-1884)は中国清末の書家、画家、篆刻家であり、近代芸術家の呉昌碩・斉白石をはじめ後世に大きな影響を与えた人物です。
篆書・隷書に草書法を加えた雄偉な書、独自の画風で書かれた斬新な文人画、そして水墨画の伝統に則って、画と書を一体とみなすその書画は、とても深く、静かで、心が落ち着きます。
また趙之謙が強く影響を受けたという北魏の書も展示されていて、とても勉強になりました。




書道博物館を出た時には昼近くになっていました。
昼は浅草寺で自由散策です。浅草寺前からは東京スカイツリーが見えました。
昔から浅草は外国人に人気の観光スポットでしたが、最近はアニメやゲームの影響で日本に興味を持つ外国人が増えているからでしょうか、若い外国人の男女が目立ちました。
 
 





午後は上野の東京国立博物館に行ってきました。
実は先ほどの台東区書道博物館での趙之謙展は、東京国立博物館との連携企画で、その為、ここでも趙之謙の作品を見る事ができました。
また本館(日本ギャラリー)では、故高円宮殿下の現代根付のコレクションを見る事ができました。
根付とは、江戸時代に印籠、煙草入れ、矢立て、その他小型の革製鞄などを、帯から紐で吊るして持ち歩く際に用いられた留め具で、日本国内のみならず海外でも、装飾美術品として高く評価されています。
高円宮殿下は郷誠之助と共に根付の蒐集家として知られ、同博物館には二人が遺した膨大な数の根付が所蔵されています。
法隆寺宝物館では漆工、金工、書画、織物などが、東洋館では中国、朝鮮、東南アジア、インドなどの美術品や工芸品を見る事ができました。
どの展示品も素晴らしく、あっという間に時間が過ぎてしまいました。




名残惜しかったものの国立博物館を後にして、町田に戻り、そこで解散となりました。
研修旅行を企画して下さった書道連盟会員の皆様、町田市観光コンペティション協会、バスの運転手さん、添乗員さん、とても充実して、勉強になった1日でした。
本当にありがとうございました。



一葉記念館
http://www.taitocity.net/taito/ichiyo/

子規庵保存会
http://www.shikian.or.jp/sikian0-0.htm

台東区書道博物館
http://www.taitocity.net/taito/shodou/

東京国立博物館
http://www.tnm.jp/