松岡みゆきのブログ

町田市議会議員 松岡みゆきのブログです

7月7日〜9日 行政視察(第3日目:北海道根室市)




中標津空港から根室市まで車で1時間半ほどです。
根室市の視察目的は北方領土です。
とはいえ、北方領土は現在ロシアに不法占拠された状態で、一般の日本人はビザ無しで行く事が出来ない為、納沙布岬から歯舞諸島を見るのみです(当日は霧が濃く、残念ながら島を見る事はできませんでした。晴れた日にはよく見えるそうです)。


 
その後、根室市議会で北方領土の勉強会を行いました。
一般に北方領土問題で指摘される北方領土とは、歯舞諸島色丹島国後島択捉島の4つを指します。
ここは日本固有の領土でしたが、終戦の混乱に乗じて当時のソ連が侵攻・占領しました。
ここで問題なのは、ソ連が侵攻したのが日本の降伏後だという事です。

 昭和20年8月15日 ポツダム宣言受諾、終戦天皇陛下玉音放送
    〃 8月28日 ソ連北方領土に上陸
    〃 9月 2日 日本、米戦艦ミズーリ艦上で降伏文書に調印
    〃 9月 4日 ソ連北方領土の占領を完了

以後、今日に至るまで69年間、ソ連・ロシアによる実効支配が続いています。
占領の際に本土に避難してきた元島民も高齢化が進み、平均年齢が79.6歳となり、昭和20年に17,291人いた元島民は、平成26年には6,596人にまで減ってしまいました。
生まれ育った島に帰れないまま、1万人以上の方が亡くなられたのです。

さらに北方領土問題は根室市の経済にも暗い影を落としています。
かつて根室市水産業が盛んで、漁獲量は10万7千トン(全国7位)、漁獲高は291億円(全国4位)にもなり、中でもサンマ漁は16年間1位でした。
また市内には缶詰工場が多数あり、5万人もの人が働いていました。
しかし近年、北方領土近辺でロシアの巡視艇が頻繁に警戒を行い、漁場の安全が確保できなくなった為、漁師の数が年々減り続け、工場で働く人も2万8千人にまで減少してしまいました。
もはや水産業が成り立たないレベルにまで落ちています。

領土問題というと、とかく国家レベルの、外交の問題と捉えがちですが、実際には人々の生活に密接に関わっているのです。これは竹島尖閣諸島にも当てはまる事です。
ドイツの法学者のゲオルグ・イェリネックは国家の三要素として「領域・国民・主権」を挙げましたが、今の日本はそのどれも守れていないのです。これで果たして正常な国家と言えるでしょうか。
納沙布岬で私はこの国の行く末に不安を感じずにはいられませんでした。